2014.03.07 Friday
偉い人は決して偉ぶらない
奈良での植木屋仲間の結婚式披露宴会場でのこと。会場には造園界では名人といわれる作庭家のF氏と千葉大学園芸学部の教授のこれまたF氏が参列していました。お二方とも新郎の恩師。
僕にとっては雲の上の存在なので、勇気をだして、瓶ビールを携えてお酌しに。
先ずは作庭家のF氏のところへ。
F氏 「ああそうか。『チルチンビト』かな?」
僕 「はい。あと『庭』でもお見かけします。先生の板石とカズラ石でやる土留めがあるじゃないですか。あれがすごく好きなんです。」
F氏 「うんうん。あれ、いいでしょ。」
僕 「土留めといえば植木屋はすぐに石積みをしたがるものですが、」
F氏 「うん。石積みはねぇ。こってりし過ぎちゃってね。あまりやらないんです。」
僕 「そうなんですね。先生の肩肘張らない造形が好きです。」
「あの土留め。僕もやっていいですか?」
F氏 「(笑)いいよいいよ。やってください。」
僕 「あと、田んぼをお庭の中に取り入れてらっしゃいますよね。あれが衝撃的で。」
F氏 「うんうん。いいでしょ。今度はね、お茶畑をお庭に取り入れようと思って。」
僕 「おぉぉ。なるほど!僕の住んでいる地域は狭山茶の畑が多くあるのですが。」
F氏 「稜線に沿って続くお茶畑。お庭に取り入れたら面白いでしょ?」
僕 「いいですね〜〜〜」
僕 「僕、植木屋なんですが、庭作りよりも外構工事の依頼が多くって。」
F氏 「ブロック積みするくらいならサラリーマンになった方がいいよ。」
「コンクリートブロックやプラスチックの竹垣。あれは偽りです。偽りの仕事をしちゃいかん。」
僕 「はい。僕もなるべくブロックは使いたくなくて。」
「先日の外構工事ではブロック積みで見積書を出しましたが、実際の工事では板石で土留めをしました。お客さんもよ喜んでくれて、、、」
F氏 「うんうん。そうだね。」
「でね。生コンクリートは偽りではない。本物の素材なんです。」
僕 「はい。理解できます。」
F氏 「私の家にね、簾を型枠の内側に張って打ったコンクリートよう壁を作ったんです。型枠大工さんに無理言ってやってもらったんです。あれは、いい表情ですよ。いつか見に来てください。」
僕 「はい!ありがとうございます!勉強させていただきます。その際は是非よろしくおねがいいたします。」
続いて千葉大学園芸学部教授のF氏の元へ。
僕 「こんにちは。埼玉県で植木屋やっている新井といいます。」
F氏 「ああ。そうかそうか。」
僕 「この披露宴の前に三条二坊宮跡庭園行って来たんですが。それこそ作庭記にあるように『こはんにし従って』石が据えられていたので感動しちゃって」
F氏 「うんうん。でもね、あそこの庭には朝鮮半島の様式が残っている。」
「石を立てて並べて据えていた部分があったでしょ?あれは日本人の石の据え方ではない。」
「東院庭園は見た?」
僕 「まだ見てないんです。明日行きます。」
F氏 「東院庭園もそう。池の一部がかつては方形だったことが分かっています。それは朝鮮半島の様式なんです。」
「三重県にね、4世紀後半に作られた庭(城乃越遺跡)があるんです。その頃の石の据え方は朝鮮半島の影響を受けていない。日本人の感覚で石が据えられているんです。」
「ところが時代を経て朝鮮半島から文化が入ってくるとその影響で石の据え方が変わってくる。宮跡庭園も東院庭園も庭を作った技術者の中には朝鮮半島人がいたらしいんです。」
「やがてその人たちが死んでいなくなってくると再び庭は日本の様式に戻っていきます。」
僕 「やっぱり日本人は日本庭園の感覚が好きなんですね。」
F氏 「日本庭園同様、朝鮮半島の庭にも良いのがいっぱいある。中国にも発掘が進んでいませんがまだまだいっぱいある。広州に良いのが眠っていますよ。」
「庭の文化はその他の文化同様中国から朝鮮半島を経て日本に伝わったと思うでしょ?」
「違うんです。それぞれ個々に育まれた庭園様式があるんです。おもしろいですよ。」
「君は、一度韓国に行った方が良い。」
僕 「はい!ありがとうございます。もっと勉強します。」
それぞれ数分間の会話でしたが心揺さぶられました。
庭は、やっぱり面白い。
僕にとっては雲の上の存在なので、勇気をだして、瓶ビールを携えてお酌しに。
先ずは作庭家のF氏のところへ。
僕 「こんにちは。埼玉県で植木屋やっている新井といいます。雑誌で先生のお庭を拝見し勉強させていただいてます。」
F氏 「ああそうか。『チルチンビト』かな?」
僕 「はい。あと『庭』でもお見かけします。先生の板石とカズラ石でやる土留めがあるじゃないですか。あれがすごく好きなんです。」
F氏 「うんうん。あれ、いいでしょ。」
僕 「土留めといえば植木屋はすぐに石積みをしたがるものですが、」
F氏 「うん。石積みはねぇ。こってりし過ぎちゃってね。あまりやらないんです。」
僕 「そうなんですね。先生の肩肘張らない造形が好きです。」
「あの土留め。僕もやっていいですか?」
F氏 「(笑)いいよいいよ。やってください。」
僕 「あと、田んぼをお庭の中に取り入れてらっしゃいますよね。あれが衝撃的で。」
F氏 「うんうん。いいでしょ。今度はね、お茶畑をお庭に取り入れようと思って。」
僕 「おぉぉ。なるほど!僕の住んでいる地域は狭山茶の畑が多くあるのですが。」
F氏 「稜線に沿って続くお茶畑。お庭に取り入れたら面白いでしょ?」
僕 「いいですね〜〜〜」
僕 「僕、植木屋なんですが、庭作りよりも外構工事の依頼が多くって。」
F氏 「ブロック積みするくらいならサラリーマンになった方がいいよ。」
「コンクリートブロックやプラスチックの竹垣。あれは偽りです。偽りの仕事をしちゃいかん。」
僕 「はい。僕もなるべくブロックは使いたくなくて。」
「先日の外構工事ではブロック積みで見積書を出しましたが、実際の工事では板石で土留めをしました。お客さんもよ喜んでくれて、、、」
F氏 「うんうん。そうだね。」
「でね。生コンクリートは偽りではない。本物の素材なんです。」
僕 「はい。理解できます。」
F氏 「私の家にね、簾を型枠の内側に張って打ったコンクリートよう壁を作ったんです。型枠大工さんに無理言ってやってもらったんです。あれは、いい表情ですよ。いつか見に来てください。」
僕 「はい!ありがとうございます!勉強させていただきます。その際は是非よろしくおねがいいたします。」
続いて千葉大学園芸学部教授のF氏の元へ。
僕 「こんにちは。埼玉県で植木屋やっている新井といいます。」
F氏 「ああ。そうかそうか。」
僕 「この披露宴の前に三条二坊宮跡庭園行って来たんですが。それこそ作庭記にあるように『こはんにし従って』石が据えられていたので感動しちゃって」
F氏 「うんうん。でもね、あそこの庭には朝鮮半島の様式が残っている。」
「石を立てて並べて据えていた部分があったでしょ?あれは日本人の石の据え方ではない。」
「東院庭園は見た?」
僕 「まだ見てないんです。明日行きます。」
F氏 「東院庭園もそう。池の一部がかつては方形だったことが分かっています。それは朝鮮半島の様式なんです。」
「三重県にね、4世紀後半に作られた庭(城乃越遺跡)があるんです。その頃の石の据え方は朝鮮半島の影響を受けていない。日本人の感覚で石が据えられているんです。」
「ところが時代を経て朝鮮半島から文化が入ってくるとその影響で石の据え方が変わってくる。宮跡庭園も東院庭園も庭を作った技術者の中には朝鮮半島人がいたらしいんです。」
「やがてその人たちが死んでいなくなってくると再び庭は日本の様式に戻っていきます。」
僕 「やっぱり日本人は日本庭園の感覚が好きなんですね。」
F氏 「日本庭園同様、朝鮮半島の庭にも良いのがいっぱいある。中国にも発掘が進んでいませんがまだまだいっぱいある。広州に良いのが眠っていますよ。」
「庭の文化はその他の文化同様中国から朝鮮半島を経て日本に伝わったと思うでしょ?」
「違うんです。それぞれ個々に育まれた庭園様式があるんです。おもしろいですよ。」
「君は、一度韓国に行った方が良い。」
僕 「はい!ありがとうございます。もっと勉強します。」
それぞれ数分間の会話でしたが心揺さぶられました。
庭は、やっぱり面白い。
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